東京高等裁判所 昭和62年(ツ)57号 判決
土地区画整理事業における仮換地指定処分後換地処分がされるまでの間に、仮換地を目的とした売買がなされた場合において、清算金の支払義務や換地清算金交付請求権の帰属に関する合意がなされず、仮換地自体の価値によって売買価格が決定されたときには、右支払義務や右請求権は、売主に帰属すべきものであり、したがって、買主が換地清算金を徴収されたときは、買主は、その額に相当する損害を被ったものである反面、売主は、本来負担すべき清算金の支出を免れる結果となり、これと同額の利益を得たものというべきであるから、買主は、売主に対し、不当利得として右と同額の金員の返還を求めることができるものと解すべきであって、これと同旨の見解に立ち、原審の確定した事実関係において、被上告人の上告人に対する不当利得の返還請求を認めた原審の判断は正当である。
なお、本件の場合、売買時から清算評価基準時までに約一七年が経過しており、その間に仮換地の価額が著しく上昇した結果、増換地分について徴収される清算金の額が、売買当時予見された額より大幅に高額なものとなったことは、容易に推測されるところであるが、そのために売主に不利益が生ずることは、売買の際清算金の支払義務を買主に移転させないまま売買をした売主としてはやむをえないところであり、他方、買主が右の価額上昇による利益を享受することは、売買当時の仮換地の価額に相当する代金を支払ってこれを取得した買主としては当然のことであるから、前示の売主の不利益を本件不当利得の額から控除すべき理由はなく、この点に関する所論は採ることができない。
(村岡 安達 鈴木)